ECサイトとは:自社型・モール型・フリマ型の3つの形と、費用の違い
ECサイトとは、インターネット上で商品やサービスを売買するサイトのことです。 ECはelectronic commerce(電子商取引)の略で、日本語のネットショップ、オンラインストア、通販サイトは、同じものを別の言葉で呼んでいます。
定義はそれで終わりですが、「ECサイトとは」で検索する人が本当に知りたいのは、その先です。ECサイトにはどんな形があり、それぞれ誰が買い手を連れてきて、いくらかかるのか。検索上位にあるのはEC制作会社や決済会社の記事で、自社のサービスに向けて説明が偏りがちです。この記事は、ECサイトを誰が買い手を連れてくるかで3つの形に分け、BASE、Shopify、Amazon、メルカリの料金ページを2026年10月6日に読んだ数字だけで比べます。
市場規模の数字は引用しません。経済産業省の「電子商取引実態調査」は1998年度から毎年続いていて、最新は令和6年度調査(令和7年8月26日公表)ですが、この記事を書いた日に公表資料のPDFを読めなかったからです。数字が必要なら、経済産業省のページから直接読んでください。
ECサイトの定義と、似た言葉の整理
ECサイトという言葉は、行政や業界の文書で使われます。経済産業省の調査が調べているのは、企業間(BtoB)と消費者向け(BtoC)の電子商取引の市場規模と、全ての取引金額に占める電子的な取引金額の比率(電子商取引化率)です。つまり行政の言う「電子商取引」には、企業同士の取引も含まれます。
一方、ネットショップやオンラインストアという言葉は、ふつう消費者に物を売るサイトを指します。この記事が扱うのもそちらです。言葉の対応は次のとおりです。
| 言葉 | 誰が使うか | 指しているもの |
|---|---|---|
| ECサイト | 業界、行政、制作会社 | 電子商取引を行うサイト全般(BtoBを含む) |
| ネットショップ | 出店者、買い手 | 消費者向けのECサイト |
| オンラインストア | 海外発のサービス(Shopifyなど) | 同上 |
| 通販サイト | 買い手、法律(特定商取引法の「通信販売」) | 同上 |
4つのうち、法律が使うのは「通信販売」です。あとで触れますが、どの言葉で呼んでも、ネットで物を売れば特定商取引法の通信販売に当たります。
ECサイトの3つの形:誰が買い手を連れてくるか
ECサイトを分ける軸はいくつもありますが、出店する側にとって結果を分けるのは1つです。買い手を連れてくるのが自分か、場所か。
| 形 | 買い手を連れてくるのは | 費用の形 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 自社ECサイト | 自分 | 月額または売れたときの手数料。集客費は別 | BASE、Shopify、WordPress+WooCommerce |
| モール型 | モール | 出店料や月額に、販売手数料 | 楽天市場、Amazon.co.jp |
| フリマ・オークション型 | アプリ | 出品料なし、売れたときの販売手数料 | メルカリ、Yahoo!オークション |
同じ商品を同じ価格で出しても、最初の売れ方は形によって違います。モールやフリマアプリには買い手がすでにいて、自社ECサイトには最初は誰もいません。その代わり、モールとフリマは売れたときの手数料が高く、自社ECサイトは低い。この構造を先に押さえると、以下の数字が読みやすくなります。
自社ECサイト:自分の店を建てる形
自社ECサイトは、自分の店を自分の名前で持つ形です。買い手を連れてくるのは自分なので、集客の費用と手間が別にかかります。作り方は3つに分かれます。
サービス型(ASPカート)。 BASEやSTORESのように、登録すればすぐ店ができるサービスです。BASEのサイトは「開設まで最短30秒」「初期・月額費用0円」「売れた時だけ手数料が発生します」と案内していて、流れは商品登録、デザイン、公開の3段階です。BASE株式会社のメディアBASE Uは、メールアドレス、パスワード、ショップのURLを入れればすぐに開設できると書いています。
月額型。 Shopifyが代表で、料金ページ(2026年10月6日時点)ではBasicが月払い4,850円、年払いなら月額換算3,650円で、国内の標準カードの手数料は3.55%です。最初の3日間は料金がかからず、その後3か月間は月額150円で使えるとも書かれています。Basicは「個人事業主に最適」、上位のAdvancedは「グローバル展開に」と案内されていて、海外に売ることが料金体系の前提に入っているのが、国内のサービスとの違いです。Shopifyの全体像はShopifyとは何かの記事にまとめています。
自作型(CMS+プラグイン)。 WordPressにWooCommerceというプラグインを入れて、自分のサーバーで店を動かす形です。WordPress.orgのプラグインページは、WooCommerceを「WordPress 向けのオープンソースの eコマースプラットフォーム」と説明していて、プラグイン自体は無料、有効インストール数は7百万以上、動作にはWordPress 7.0以上とPHP 7.4以上が必要です。本体が無料な代わりに、サーバー代と保守は自分で持ちます。
サービス型と月額型のどちらが安いかは、月の売上で決まります。BASE、STORES、カラーミーショップ、Shopify、MakeShopの7プランを同じ列で並べた比較と、客単価5,000円での分かれ目の計算はネットショップのおすすめの記事にあります。自分のブランドを育てる前提で自社ECサイトを選ぶなら、D2Cブランドの記事が先です。
モール型:商店街に出店する形
モール型は、すでに買い手が集まっている場所に出店する形です。Amazon出品サービスのページは、「毎日Amazonで商品を探している何百万ものお客様」に向けて売れることを前面に出しています。集客をモールが担う代わりに、出店者はその分を払います。
Amazon.co.jpの費用は、出品サービスの料金ページ(2026年10月6日時点)では次のとおりです。
| 出品プラン | 固定費 | 販売手数料 |
|---|---|---|
| 小口出品 | 1商品につき100円 | 商品カテゴリーによって異なり、多くの場合5%から15.4% |
| 大口出品 | 月額4,900円 | 同上 |
販売手数料がカテゴリーごとに違う点に注意してください。「多くの場合5%から15.4%」という幅は広く、自分の商品のカテゴリーで何%かは出品前に料金ページで確認する必要があります。
楽天市場も同じモール型ですが、この記事を書いた日に出店案内のページを読めなかったため、出店料や手数料の数字を書きません。検討するなら、楽天市場の出店案内を読んだ日付つきで確認してください。
モール型のもう1つの性質は、自分の店の名前より、モールの名前で買われることです。買い手は「Amazonで買った」と記憶し、出店者の名前は残りにくい。集客の速さと引き換えに、ブランドは育ちにくい形です。
フリマ・オークション型:個人が1点ずつ売る形
メルカリやYahoo!オークションは、もともと個人が手元の物を売り買いする場として設計されています。ECサイトの一種として数えないこともありますが、物を売る場所として最も参入しやすいのはここなので、この記事では3つ目の形として扱います。
メルカリの費用は、メルカリガイド(2026年10月6日時点)で次のとおりです。出品時に出品料はかからず、売れたときに販売価格の10%が販売手数料、売上を引き出すときの振込手数料は一律200円です。
固定費がなく、買い手がすでにいる。だから「まず売れるかどうかを確かめる」場所としては合理的です。ただし、仕入れて売る形で使うなら、自分の不用品を売る場合とは制度上の扱いが変わります。古物商許可と確定申告の線は物販の副業の記事で整理しています。また、メルカリガイドは「手元にない商品の出品やECサイト等から直送すること」を禁止されている出品物に含めているので、仕入れてから出品する順番になる点も、始める前に知っておく必要があります。
海外の買い手に売る場合は、eBayという4つ目の選択肢があります。eBayには日本国内向けの市場がないため、日本からの出品はすべて海外向けの輸出になります。送料、関税、為替が加わる分、国内の3つの形とは判断の材料が違い、eBay輸出の記事で別に扱っています。
どの形でも共通する義務:特定商取引法の表示
3つの形のどれを選んでも、ネットで物を売れば特定商取引法の「通信販売」に当たります。消費者庁の特定商取引法ガイドは、広告に表示すべき事項として次を挙げています。
- 販売価格(送料についても表示が必要)
- 代金の支払時期、方法
- 商品の引渡時期
- 申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨および内容
- 契約の申込みの撤回または解除に関する事項
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 販売価格や送料以外に購入者が負担すべき金銭があるときは、その内容と額
- 引き渡された商品が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定め
返品についての特約(返品の可否、期間、費用負担)がある場合は、その内容を省略できないとも書かれています。そして同じページは、要件に該当すれば個人でも特定商取引法上の「販売業者」になると明記しています。「個人だから表示しなくていい」は成り立ちません。
住所や氏名をどう表示するか、開業届や青色申告承認申請書をいつまでに出すか、古物商許可はいつ要るかといった、店を建てる前の手続きはネットショップ開業の手順にまとめています。ECサイトの形を選ぶ話と、事業者としての手続きの話は別で、後者のほうが取り消しにくい決定です。
自分に合う形の決め方
3つの形を前にして決めるべきことは、順番に3つです。
- 何を売るか。 土台の前に商品です。同じ商品を扱う店が実際に売れているかどうかは、どの形でも先に確かめられます。日本のShopifyストアがどんな商品を扱い、どの広告チャネルを使っているかは、ZIK Marketplace Index(ZMI)をもとにした日本のShopifyストアのデータレポートにまとめています。
- 買い手を自分で連れてこられるか。 こられないなら、モール型かフリマ・オークション型から始めるほうが、売れるかどうかの答えが早く出ます。こられる、または自分の店の名前で売りたいなら、自社ECサイトです。
- 月の売上の見込みはいくらか。 自社ECサイトの中で、売れたときに払う型と月額型のどちらが安いかは、ここで決まります。
この3つは、どれか1つに決めるための問いではありません。モールで売れることを確かめてから自社ECサイトを建てる、フリマで需要を見てからモールに出す、という順番は、あとからでも取れます。最初から1つの形に固定する理由は、ほとんどありません。
まとめ
ECサイトとは、インターネット上で商品やサービスを売買するサイトで、ネットショップやオンラインストアと同じものです。出店する側にとっての違いは、誰が買い手を連れてくるかです。自社ECサイトは自分で集客し、BASEのように売れたときだけ払う形とShopify Basicのように月払い4,850円を払う形があります。モール型のAmazon.co.jpは月額4,900円の大口出品か1商品100円の小口出品に、多くの場合5%から15.4%の販売手数料。フリマ型のメルカリは出品料なしで販売価格の10%です。どの形でも、個人であっても、特定商取引法の表示が必要です。
数字はこの記事を書いた2026年10月6日の読み取りです。各社の料金は変わるので、出店する前に料金ページの日付と金額を自分の目で確かめてください。
よくある質問
ECサイトとは何ですか。
ECサイトとは、インターネット上で商品やサービスを売買するためのサイトです。ECはelectronic commerce(電子商取引)の略で、経済産業省は1998年度から「電子商取引実態調査」として、企業間と消費者向けの電子商取引の市場規模や、全取引に占める電子的な取引の比率(電子商取引化率)を毎年調べています。日本語のネットショップ、オンラインストア、通販サイトは、消費者向けのECサイトを指す別の呼び方で、意味は同じです。
ECサイトとネットショップの違いは何ですか。
指しているものは同じです。ECサイトは業界や行政の文書で使われる言い方で、ネットショップは買い手や個人の出店者が日常で使う言い方です。あえて使い分けるなら、ECサイトは企業間取引(BtoB)のサイトも含む広い言葉で、ネットショップはふつう消費者に売るサイトを指します。この記事は消費者向けのECサイト、つまりネットショップについて書いています。
ECサイトにはどんな種類がありますか。
買い手を誰が連れてくるかで3つに分かれます。1つ目は自社ECサイトで、BASEやShopifyのようなサービスで自分の店を建て、集客は自分で行います。2つ目はモール型で、楽天市場やAmazon.co.jpのようにすでに買い手が集まっている場所に出店し、出店料や販売手数料を払います。3つ目はフリマ・オークション型で、メルカリやYahoo!オークションのように個人が1点ずつ売る場所です。自社ECサイトはさらに、BASEのようなサービス型、Shopifyのような月額型、WordPressにWooCommerceを入れる自作型に分かれます。
ECサイトを作るのにいくらかかりますか。
形によって違います。自社ECサイトでは、BASEが初期費用と月額0円で売れたときだけ手数料を払う形、Shopify Basicが月払い4,850円(年払いなら月額換算3,650円)で国内の標準カードの手数料3.55%です。モール型のAmazon.co.jpは、大口出品が月額4,900円に販売手数料、小口出品が1商品100円に販売手数料で、販売手数料は多くの場合5%から15.4%です。メルカリは出品料がなく、売れたときに販売価格の10%です。いずれも各社の料金ページを2026年10月6日に読んだ数字で、変わることがあります。楽天市場の出店料は、この記事を書いた日に出店案内を読めなかったため書いていません。
ECサイトは個人でも作れますか。
作れます。BASEは「開設まで最短30秒」、初期費用と月額0円と案内していて、メールアドレス、パスワード、ショップのURLを入れれば開設できます。Shopifyの料金ページはBasicプランを「個人事業主に最適」と案内しています。ただし、個人でも、ネットで反復継続して物を売れば特定商取引法の「販売業者」になり、氏名、住所、電話番号などの表示が必要です(消費者庁)。仕入れた中古品や新品を転売する形なら、古物商許可の話も出てきます。
ECサイトとモールはどちらがいいですか。
買い手を自分で連れてこられるかで決まります。連れてこられないなら、すでに買い手がいるモールやフリマアプリから始めるほうが、売れるかどうかの答えが早く出ます。その代わり、Amazon.co.jpなら多くの場合5%から15.4%の販売手数料、メルカリなら10%の販売手数料を払います。自分で集客できる、またはブランドとして自分の店を持ちたいなら自社ECサイトで、売れたときの手数料は低くなりますが、集客の費用が別にかかります。両方を使い分ける店も多く、どちらか一方に決める必要はありません。