eBay輸出とは:日本のセラーが海外に売るということ
「eBay輸出」という言葉は、日本語圏の販売者コミュニティでは当たり前に使われています。しかし、なぜ「輸出」という言葉がつくのかを説明している記事はあまり多くありません。理由は単純です。eBayには日本国内向けのマーケットプレイスが存在しないからです。
メルカリやヤフオク!には日本の買い手がいます。eBayには、日本の買い手に向けた日本国内のサイトがありません。eBayが現地向けのマーケットプレイスを運営しているのはアメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリアなどで、日本はその中に入っていません。
つまり、日本からeBayで売るということは、例外なく海外の誰かに売るということです。国内向けの販売と同じ感覚で始めると、手数料の構造も、価格の決め方も、確かめるべきデータも食い違います。この記事では、その食い違いがどこで起きるのかを整理します。
「日本のeBayの売れ筋」というデータは存在しない
最初に、探しても見つからないものをはっきりさせておきます。
日本国内向けのeBayマーケットプレイスがない以上、「日本のeBayで先月何が売れたか」という集計は、どこにも存在しません。データが非公開なのではなく、集計の対象になる市場そのものがありません。
これは不便に見えて、実は問題の立て方が違うだけです。輸出セラーにとって意味があるのは、自分がいる場所の数字ではなく、売り先の数字です。アメリカの買い手に売るなら、確かめるべきはアメリカで何がいくらで売れているかです。
同じことは他の国にも当てはまります。ドイツやイタリアのセラーには自国のeBayがあるので、自国の売れ筋を見ることに意味があります。日本のセラーにはそれがなく、代わりに売り先の市場を見ます。見るべき市場が違うだけで、やっていることは同じです。
手取りを決めるのは販売価格ではない
国内販売との一番大きな違いは、価格から引かれるものの数と大きさです。
海外に売る場合、販売価格から引かれるのはおおむね次の4つです。
- eBayの販売手数料(カテゴリーによって料率が異なります)
- 決済にかかる手数料
- 国際送料
- 為替の影響と、円に替えるときのコスト
このうち、国内販売の感覚から最もずれるのが国際送料です。国内なら数百円で送れる大きさのものが、海外向けでは数千円になることは珍しくありません。しかも送料は商品の価格ではなく、重さと大きさで決まります。
ここから実務的な結論が出ます。軽くて小さく、単価がそれなりに高いものは輸出と相性がよく、重くて大きく、単価が安いものは、売れても手取りが残りません。売れるかどうかより先に、送れるかどうかを確かめる必要があります。
出品されている価格と、売れた価格は別物
商品を選ぶときに一番よくある間違いが、出品されている価格を見て判断することです。
出品価格は、売り手がつけた希望価格です。その値段で売れた証拠ではありません。3か月売れ残っている商品にも価格はついています。
見るべきなのは、実際に売れた価格と、どれくらいの頻度で売れているかです。この2つが揃って初めて、その商品に需要があると言えます。片方だけでは判断できません。高く売れた記録が1件あっても、それが年に1回なら商売にはなりません。
ZIK Analyticsのようなリサーチツールが扱っているのは、この「実際に売れた」側のデータです。eBayの実売データ、Sell-Through Rate(出品に対して実際に売れた割合)、競合セラーの販売履歴を見て、希望価格ではなく実績で判断します。
なお、ZIK Analyticsのアプリは現在英語表示です。日本語表示には対応していません。
日本にいることは不利ではない
輸出というと、海外セラーとの競争で不利になりそうに聞こえます。実際には逆に働く場面があります。
日本から発送されること自体が、買い手にとって価値になる商材があります。日本国内で流通している商品、日本で状態よく保たれた中古品、日本国内向けにしか出回っていないもの。こうした商材は、現地のセラーには仕入れられません。
つまり、探すべきなのは「海外で売れているもの」だけではありません。海外で需要があり、かつ日本から出すほうが有利なものです。この2つが重なるところが、輸出セラーの取り分になります。
始める前に確かめる3つのこと
- 売り先の市場で、実際に売れた価格を確かめる。 出品価格ではありません。
- 送料を先に調べる。 重さと大きさで見積もり、販売価格から引いてみて、手取りが残るか確認します。
- 買い手が使う言葉で書けるか確認する。 商品タイトルは買い手が検索に使う語で書く必要があります。翻訳した日本語ではなく、現地の買い手が実際に打ち込む語です。
この3つが通らない商品は、出品しても結果が出ません。逆に3つとも通るなら、あとは出品して試す段階に進めます。
まとめ
eBay輸出は、国内販売の延長ではありません。売り先が海外である以上、見るべきデータも、価格の組み立て方も、確かめる順番も変わります。
覚えておくべきことは2つです。日本のeBay市場は存在しないので、売り先の市場を見ること。 そして、売れた価格と売れた頻度だけが判断材料になること。 この2つを守れば、少なくとも「なんとなく売れそう」で仕入れて在庫を抱える失敗は避けられます。
よくある質問
eBayに日本版はありますか。
ありません。eBayはアメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリアなどで現地向けのマーケットプレイスを運営していますが、日本国内向けのものはありません。日本のセラーはeBay.comなどの海外サイトに出品し、海外の買い手に販売します。
日本のeBayの売れ筋データはどこで見られますか。
存在しません。日本国内向けのeBayマーケットプレイスがないため、そもそも集計の対象になる市場がありません。輸出セラーが見るべきなのは販売先の市場、つまりeBay米国などの実売データです。
英語ができなくても出品できますか。
出品自体はできますが、商品タイトルと商品説明は買い手が読む言語で書く必要があります。買い手が検索に使う語で書かれていない商品は、そもそも見つけてもらえません。問い合わせ対応にも英語は必要になります。
送料は誰が負担しますか。
出品時にセラーが決めます。送料をセラー負担にして販売価格に含める方法と、買い手負担にする方法があります。どちらにしても手取りは同じ計算で決まるため、先に送料を把握してから価格を決める必要があります。
何から確かめればよいですか。
扱おうとしている商品が、海外でいくらで、どれくらいの頻度で売れているかです。出品されている価格ではなく、実際に売れた価格を見てください。出品価格は希望であって、実績ではありません。