輸入ビジネスと輸出ビジネス:どちらから始めるか
輸入ビジネスと輸出ビジネスは、貿易の向きが逆なだけに見えます。実際には、資金の出方と在庫リスクの構造が別物です。
どちらから始めるかを決めるとき、比べるべきはその2点です。
資金と在庫リスクの違い
| 輸入ビジネス | 輸出ビジネス | |
|---|---|---|
| 仕入れ先 | 海外 | 国内 |
| 売り先 | 日本国内 | 海外 |
| 資金が出る順番 | 売れる前に先に出る | 国内で少量ずつ試せる |
| 商品の確認 | 届くまで実物を見られないことがある | 自分の目で確認できる |
| ロットの考え方 | まとめるほど単価が下がる | 1点から試せる |
| 為替の向き | 円安が仕入れ値を押し上げる | 円安が手取りを増やす |
| 言語 | 仕入れ先とのやり取り | 出品と問い合わせ対応 |
輸入は、売れる前に資金が動きます。 仕入れ代金に加えて、輸入時にかかる費用と国際送料が先に出ていきます。まとまった数量で仕入れれば単価は下がりますが、売れなかったときの在庫はそのまま残ります。
輸出は、国内で仕入れるぶん試しやすい構造です。 1点だけ仕入れて出品し、売れ方を見てから増やせます。商品の状態も自分の目で確認できるので、説明と実物が違うという事故が起きにくくなります。
日本にいることの強みは輸出側に出る
ここが、どちらを選ぶかの実質的な判断材料になります。
輸入では、日本にいることは特別な有利にはなりません。同じ仕入れ先から、他の国のバイヤーも買えるからです。
輸出は違います。日本国内で流通している商品、日本で状態よく保たれた中古品、国内向けにしか出回っていないもの。 こうした商材は、海外にいるセラーには仕入れられません。
つまり輸出では、価格ではなく入手経路で差がつきます。 これは資金力で勝てない段階ほど効いてくる強みです。
どちらも共通して必要な確認
向きが違っても、確認すべきことは重なります。
1つめは、商品ごとの規制です。 食品、化粧品、医薬品、電気製品などは分野ごとの規制が関わります。中古品を反復して売買する場合の許可が関わることもあります。商品を決めてから、その商品について確認してください。 一般論では判断できません。
2つめは、売れるかどうかの確認です。 これはどちらの向きでも同じで、見るのは次の2つだけです。
- 実際に売れた価格(出品されている価格ではありません)
- その価格で、どれくらいの頻度で売れているか
出品価格は売り手の希望であって、売れた証拠ではありません。
3つめは、手取りの計算です。 販売価格から、販売手数料、決済手数料、送料、そして為替と両替のコストを引いて、何が残るかを先に出します。
輸出を選ぶ場合、見る市場に注意する
輸出で最も多い間違いが、日本の相場を見て判断することです。
売り先が海外なら、確かめるのは売り先の市場の取引価格です。日本国内の相場は仕入れ側の判断材料であって、海外に需要があることの証拠にはなりません。
海外に売る手段としてはeBayなどのマーケットプレイスが使えます。ZIK Analyticsが扱っているのは、その売り先の実売データです。なお現時点でアプリの表示は英語のみです。調べ方の手順はeBayリサーチのやり方にまとめてあります。
為替は「余裕」で受け止める
為替は自分では決められません。輸入なら円安が仕入れ値を押し上げ、輸出なら円安が手取りを増やす方向に働きます。
だからこそ、多少動いても成り立つ余裕を価格に持たせておく必要があります。 ぎりぎりの利益で組んだ計画は、為替が振れた瞬間に崩れます。
始める順番
- どちらの向きで始めるかを、資金と在庫リスクから決める
- 扱う商品を決め、その商品に規制がないか確認する
- 売り先の市場で、実際に売れた価格と頻度を確かめる
- 手数料と送料を引いて手取りを計算する
- 少量で試し、売れ方を見てから増やす
5を飛ばして最初から数量を入れると、判断を間違えたときの在庫がそのまま損失になります。
まとめ
輸入と輸出の違いは、向きではなく資金の出方と在庫リスクです。輸入は売れる前に資金が動き、輸出は少量から試せます。
そして日本にいることの強みは輸出側に出ます。日本でしか手に入らない商品を、海外の需要に合わせて出す。 資金が限られている段階では、この形が最も始めやすくなります。
よくある質問
輸入と輸出、どちらが始めやすいですか。
資金の面では輸出のほうが始めやすい場合が多くなります。輸入は仕入れ代金と輸入時の費用が売れる前に出ていくのに対し、輸出は国内で少量ずつ仕入れて試せるためです。ただし輸出は出品を買い手の言語で書く必要があります。
どんな手続きが必要ですか。
扱う商品によります。食品、化粧品、医薬品、電気製品などは分野ごとの規制が関わります。中古品を反復して売買する場合の許可が関わることもあります。商品を決めてから、その商品について確認してください。
英語は必須ですか。
輸出では、出品のタイトルと説明文を買い手の言語で書く必要があります。輸入では仕入れ先とのやり取りで必要になる場面があります。どちらも翻訳で補える部分はありますが、まったく不要にはなりません。
少額から試せますか。
輸出のほうが試しやすい構造です。国内で1点仕入れて出品し、売れ方を見てから増やせます。輸入はまとまった数量で仕入れるほど単価が下がる一方、売れなかったときの在庫が残ります。
為替はどう影響しますか。
輸入では円安が仕入れ値を押し上げ、輸出では円安が手取りを増やす方向に働きます。どちらも自分では決められないため、多少動いても成り立つ余裕を価格に持たせる必要があります。