Amazon FBAとは:1,000円と750円で手数料が変わる仕組み
FBA(フルフィルメント by Amazon)は、商品をAmazonの倉庫に預けて、保管から発送までを任せる仕組みです。ここまでは、どの解説も同じことを書いています。
書かれていないのは、手数料が「率」ではなく「段差」でできていることです。販売価格をいくらにするかで、1点あたりの手数料そのものが変わります。しかもその境目は、あとから気づいても動かせません。
この記事で扱うのは、仕組みと、その段差がどこにあるかです。金額そのものは改定されます。以下はすべて2026年10月1日時点にAmazonの公式ページで確かめた内容で、最新の数字はセラーセントラルの料金ページで自分の商品について見てください。
FBAが代わりにやること
Amazonの説明では、FBAが引き受けるのは次の範囲です。
在庫の受領、保管、注文のピッキング、梱包、発送、そして注文に関するカスタマーサービスと返品対応。出品者側に残るのは、納品プランを作ってフルフィルメントセンターに商品を送るところまでです。
もう1つ、手数料と引き換えに手に入るものがあります。お急ぎ便や当日お届けといった配送オプションの対象になることです。日本の購入者にとってこれは例外ではなく前提に近いので、FBAの料金は倉庫の代金というより配送スピードの代金だと考えたほうが実態に合います。
手数料は率ではなく、段階でできている
FBAで発生する手数料は1つではありません。何で決まるかが、それぞれ違います。
| 手数料 | 何で決まるか | 発生のタイミング |
|---|---|---|
| 配送代行手数料 | サイズ区分と重量、販売価格が1,000円を超えるか | 1点売れるごと |
| 在庫保管手数料 | 容積と保管日数、月(1月から9月か、10月から12月か) | 預けている間ずっと |
| 長期在庫の追加手数料 | 保管期間の長さ | 一定期間を超えた在庫に |
| 納品不備受領作業手数料 | 準備やラベル貼付の不備 | 倉庫での想定外の作業が発生したとき |
| 返送/所有権の放棄手数料 | 商品1点あたり | 在庫を返送または廃棄するとき |
この表のうち、出品者が値付けで直接動かせるのは1行目だけです。そしてそこに、いちばん大きな段差があります。
1,000円の境目:値上げすると手取りが減る
配送代行手数料の表は、1つのサイズ区分に対して2つの金額を並べています。販売価格が1,000円を超える商品と、1,000円以下の商品で別の料金です。
| サイズ区分 | 1,000円超 | 1,000円以下 | 1点の差額 |
|---|---|---|---|
| 小型 | 288円 | 222円 | 66円 |
| 標準(最小区分) | 318円 | 252円 | 66円 |
小型は25×18×2.0cm以下で250g以下、標準の最小区分は35×30×3.3cm以下で1kg以下です。表は標準の上の区分から大型・特大型まで続きますが、仕組みは同じです。価格が1,000円を1円でも超えた瞬間に、1点あたりの手数料が上がります。
ここから、値付けの話になります。小型サイズの商品を990円から1,050円に上げた場合を考えてください。
- 売上は1点あたり60円増える
- 配送代行手数料は222円から288円に、66円増える
- 差し引き、1点あたりの手取りは6円減る
販売手数料も販売価格に対する率なので、同じ方向に増えます。つまり値上げしたのに、1点あたりの残りは少なくなります。1,000円をわずかに超える値付けは、割に合いません。
逆向きにも使えます。1,050円で売れている商品を990円に下げると、1点の手取りはむしろ増えます。価格を下げる判断が、ここだけは利益と矛盾しません。
750円の境目と、30円の下限
販売手数料にも段差があります。多くのカテゴリーで、商品1点あたりの売上の合計が750円以下なら商品代金の5%、それを超えるとカテゴリーごとの料率に切り替わります。ホーム&キッチンや文房具・オフィス用品は15.4%、エレクトロニクスやパソコン・周辺機器は8.4%です。Amazonの料金ページは全体として「多くの場合は5%から15.4%」と説明しています。
こちらの段差のほうが、実は急です。 ホーム&キッチンで売上の合計が750円なら販売手数料は5%の約38円ですが、751円になると15.4%の約116円です。1円の値上げで、手数料が約78円増えます。1,000円の境目が1点あたり66円だったのに対して、こちらは料率そのものが変わります。
そしてもう1つ、最低販売手数料が30円設定されているカテゴリーがあります。単価の低い商品では、率で計算した金額より30円のほうが大きくなります。
境目が750円と1,000円の2か所にあるということは、1,000円前後の値付けでは2つの段差が近いところに並んでいるということです。この帯の商品は、料率だけを見て判断すると合いません。
税抜きと税込みが、1枚の表に混ざっている
Amazonの料金ページには、同じ画面の中に2つの異なる表示基準があります。
- 販売手数料の表の注記:「手数料はすべて税抜き表示となっており、下記に記載の金額に加えて税金が課金されます」
- 配送代行手数料の表の注記:「上記の手数料には10%の消費税が含まれます」
つまり販売手数料は税抜き、配送代行手数料は税込みです。2つの数字を画面から拾ってそのまま足すと、基準の違う金額を合計していることになります。 原価計算の表を作るときは、どちらかに揃えてから足してください。
これは日本の消費税の扱いに固有の落とし穴で、ドル建ての解説記事には出てきません。
保管料は安い。効いてくるのは「動かないこと」
在庫保管手数料は、金額ではなく計算式で公開されています。小型・標準サイズの場合、1月から9月は5.676円、10月から12月は10.087円に、次をかけたものです。
(商品サイズのcm³ ÷ 10cm×10cm×10cm)×(保管日数 ÷ 当月の日数)
大型・特大型は単価が下がり、1月から9月が3.278円、10月から12月が6.984円です。服&ファッション小物とシューズ&バッグのカテゴリーだけは、サイズ区分によらず1月から9月が3.10円、10月から12月が5.50円の別表です。
では実際いくらになるのか。小型サイズの上限いっぱいの商品(25×18×2.0cm=900cm³)を、1年間まるごと預けた場合を計算します。
- 1月から9月の9か月:1か月あたり約5.1円
- 10月から12月の3か月:1か月あたり約9.1円
- 合計:約73円
同じ小型サイズで、1点売れるたびにかかる配送代行手数料は222円または288円です。つまり1年分の保管料は、たった1回の発送にかかる手数料の3分の1ほどにしかなりません。「FBAは保管料が高い」という説明は、少なくとも小型サイズの商品については、この表のとおりではありません。
ただし、この73円は保管料だけの金額です。一定期間を超えた在庫には長期在庫の追加手数料が別に加わり、そこで金額の桁が変わります。動かない在庫の本当のコストは保管料ではなく、この追加手数料と、その間ずっと寝ている仕入れ資金です。 見るべきなのは単価ではなく、売れるまでの期間です。これは売り先がAmazonでもeBayでも変わらない、物販の基本的な考え方です。
長期在庫の手数料は、Amazonの2つのページで食い違っている
その長期在庫の手数料が何日から始まるのか。Amazonの公式ページ2つが、違うことを書いています。
| 出典 | 呼び名 | 開始 |
|---|---|---|
| 料金ページ(保管料の表の脚注) | 長期在庫保管手数料 | 保管期間が365日を超えた在庫 |
| FBAの案内ページ(その他の手数料) | 長期在庫追加手数料 | 270日超から段階的に |
名前も違い、日数も違い、どちらもAmazonが同じ日に公開しているページです。
ここで「実際はこちらです」と書くことはできません。どちらか一方を引用すれば、半分の読者に間違った日数を伝えることになります。 自分のアカウントにどちらが適用されるかは、セラーセントラルの料金ページとFBA在庫の画面で確認してください。
この食い違い自体も、覚えておく価値があります。Amazonの手数料は改定されます。今回読んだ表も2026年4月の改定後のもので、セラーセントラル自身が「2026年FBA配送代行手数料の改定」という案内を出しています。手数料の一覧を載せた記事は、どれだけ丁寧でも数か月で古くなります。 段差がどこにあるかを覚えて、金額は毎回取りに行く。それが実務的な扱い方です。
納品の段階でかかる、避けられる手数料
納品そのものは、セラーセントラルの納品プランの手順に沿って進めます。画面の案内に従って在庫の準備、梱包、ラベル貼付を済ませ、倉庫に送ります。
ここで1つ、自分の不注意だけで発生する手数料があります。納品不備受領作業手数料です。適切な準備やラベル貼付がないまま商品が届き、Amazon側に想定外の受領作業が必要になった場合に請求されます。
つまりこの手数料は、商品の単価やサイズとは関係がありません。手順どおりに準備すればゼロにできます。無在庫で売る場合はそもそも倉庫に納品しないので関係しませんが、FBAを使うなら最初の数回はここに時間をかける価値があります。
返品まわりにも手数料があります。購入者返品手数料は、Amazonが購入者の返送料を無料にする場合に発生します。返金処理手数料は少し仕組みが違い、購入者に返金するとAmazonは販売手数料を出品者に返しますが、そこから500円か販売手数料の10%の、金額の小さいほうを差し引きます。
FBAと自己発送、どう比べるか
Amazon自身が、両方の併用も可能だと書いています。実際、この判断は商品単位の計算です。
比べるのは3つです。1点あたりの配送代行手数料と、自分で発送した場合のコスト、そして在庫が動くまでの期間。Amazon自身も、物流コストには送料のほかに梱包資材・人件費・保管・返品対応の費用が含まれると書いています。自己発送と比べるなら、送料だけを見ても答えは出ません。 小型で単価の低い商品ほど、1点あたりの固定費が重くなります。
セラーセントラルには料金シミュレーターがあり、商品のサイズ・重量・カテゴリー・販売価格を入れると、FBAと自社配送の試算を並べて比べられます。表から手で拾うより、ここに入れたほうが確実です。
仕入れそのものの判断や、せどりを始める段階の全体像、ネット上で仕入れる方法は別の話になります。この記事はあくまで、手元にある在庫をどう出荷するかの部分です。
まとめ
FBAの手数料でつまずく原因は、金額の高さではなく、段差の位置を知らないことです。
750円と1,000円に境目があり、10月から12月は保管料の単価が上がり、販売手数料は税抜きで配送代行手数料は税込みです。 そして保管料そのものは驚くほど安く、効いてくるのは在庫が動かないことです。
この4つを押さえておけば、改定のたびに記事を読み直す必要はありません。確かめる場所は、いつもセラーセントラルの料金ページです。
よくある質問
Amazon FBAとは何ですか。
Amazonのフルフィルメントセンターに商品を納品すると、注文の受注、保管、ピッキング、梱包、発送、カスタマーサービス、返品対応までをAmazonが代行するサービスです。出品者側の作業は、納品プランを作って倉庫に送るところまでになります。
Amazon FBAの料金はいくらですか。
1点あたりの配送代行手数料と、預けている容積と日数で決まる在庫保管手数料の2つが柱です。配送代行手数料はサイズ区分と重量、そして販売価格が1,000円を超えるかどうかで変わります。料率は改定されるため、金額はセラーセントラルの料金ページで自分の商品について確かめてください。
Amazon FBAのデメリットは何ですか。
手数料が1点ごとに固定でかかるため、単価が低い商品ほど比率として重くなります。もう1つは在庫が動かないことです。保管料そのものは安いのですが、一定期間を超えると長期在庫の追加手数料が加わります。
保管料は年末に上がるのですか。
Amazonの料金ページでは、在庫保管手数料の計算に使う単価が1月から9月と10月から12月で分かれており、10月から12月のほうが高く設定されています。服&ファッション小物とシューズ&バッグのカテゴリーは、サイズ区分によらない別の単価表になっています。
長期在庫の手数料は何日からかかりますか。
Amazonの公式ページ2つが異なる説明をしています。料金ページの脚注は保管期間が365日を超えた在庫と書き、FBAの案内ページは270日超から段階的にと書いています。呼び名も長期在庫保管手数料と長期在庫追加手数料で違います。自分のアカウントのどちらが適用されるかはセラーセントラルで確認してください。
FBAと自己発送はどちらを選ぶべきですか。
商品と事業の状況によります。判断の材料は、1点あたりの配送代行手数料と、自分で梱包・発送した場合の送料・資材費・作業時間、そして在庫が動くまでの期間です。両方を併用することもできます。