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越境ECとは:何を売るかを決めてから、送り方を決める

越境ECとは、海外の買い手に商品を売ることの総称です。マーケットプレイスを使っても、自社のオンラインストアを構えても、売り先が国外なら越境ECです。

「越境EC」で調べると、出てくる情報のほとんどは物流と決済です。どう送るか、どう代金を受け取るか。どちらも必要な話ですが、順番としては後ろです。

先に決めるべきことがあります。何を売るかです。

物流と決済より先に決めること

送り方と支払い方は、扱う商品と売り先が決まってから選べます。軽い小物を米国に売るのか、重量物を欧州に送るのかで、選ぶべき手段はまったく変わるからです。

逆に、仕組みを先に整えてから商品を探すと、次のどちらかになります。

  • 送れない商品を選んでしまう(重い、大きい、送料が売価を超える)
  • 海外で需要のない商品を選んでしまう(日本では人気だが、現地では売れていない)

どちらも、仕組みをいくら整えても解決しません。越境ECで最初に詰まるのは、物流でも決済でもなく商品選びです。

売れるかどうかは「売り先」で確かめる

ここが最も間違えやすいところです。

日本で売れているから海外でも売れる、という推測は成り立ちません。買い手が違えば需要も違うからです。確かめるべきは売り先の国の実績です。

見るのは2つだけです。

  • 実際に売れた価格(出品されている価格ではありません)
  • その価格で、どれくらいの頻度で売れているか

出品価格は売り手がつけた希望であって、売れた証拠ではありません。3か月売れ残っている商品にも価格はついています。

この2つが揃って初めて「需要がある」と言えます。高く売れた記録が1件あっても、それが年に1回なら商売にはなりません。

ZIK Analyticsの商品リサーチ画面:検索語に対して、実際に売れた件数、Sell-Through Rate(出品に対して売れた割合)、平均販売価格、売上の推移が並ぶ。表示は英語のアプリ画面で、数字はeBay米国マーケットプレイスのもの

ZIK Analyticsが扱っているのは、この「実際に売れた」側のデータです。海外マーケットプレイスの実売データに加えて、Shopifyストアの売上推定や、FacebookとInstagramで出稿されている広告も調べられます。なお現時点でアプリの表示は英語のみで、日本語表示には対応していません。

販売チャネルは目的で選ぶ

越境ECの売り先は、大きく2つに分かれます。

マーケットプレイス自社ストア
買い手既にいる自分で集める必要がある
始めやすさ出品すれば始まる構築と集客の準備が要る
手数料販売ごとにかかるプラットフォーム利用料と広告費
顧客との関係プラットフォームのもの自分のもの
向く目的まず売れるか試すブランドを育てる

どちらが正解ということはありません。 ただし順番としては、マーケットプレイスで需要を確かめてから自社ストアを立てるほうが、失敗したときの損が小さくなります。買い手がいる場所で試せるからです。

マーケットプレイスの代表がeBayです。日本国内向けのサイトがないため、日本から使う場合は必然的に越境ECになります。手順はeBay出品のやり方にまとめてあります。

自社ストアの場合は、集客を自分で用意することになります。そこで効いてくるのが、競合のストアが何を売り、どこから客を集めているかという情報です。

日本にいることが強みになる

海外のセラーと競争すると聞くと不利に感じますが、越境ECでは逆に働く場面があります。

日本から発送されること自体が価値になる商材があります。 日本国内で流通している商品、状態よく保たれた中古品、国内向けにしか出回っていないもの。こうした商材は、現地のセラーには仕入れられません。

つまり探すべきは「海外で売れているもの」だけではなく、海外で需要があり、かつ日本から出すほうが有利なものです。この2つが重なるところが取り分になります。

価格で勝負するのではなく、入手経路で差がつく構図です。資金力で劣る段階ほど、この差が効きます。

手取りを決める4つの要素

売価がそのまま収入になるわけではありません。引かれるのは主に次の4つです。

  • 販売手数料(マーケットプレイスならカテゴリーごとの料率、自社ストアなら決済手数料とプラットフォーム利用料)
  • 決済にかかる手数料
  • 国際送料(商品の価格ではなく重さと大きさで決まります)
  • 為替の影響と、円に替えるときのコスト

このうち国内販売の感覚から最もずれるのが国際送料です。国内なら数百円で送れるものが、海外向けでは数千円になることは珍しくありません。

だから越境ECと相性がいいのは、軽くて小さく、単価がそれなりに高いものです。重くて安いものは、売れても手元に残りません。

為替は自分では決められないので、多少動いても赤字にならない余裕を価格に持たせておく必要があります。

始める順番

  1. 売り先の国を決める(まずは1か国で十分です)
  2. その国で実際に売れた価格と頻度を確かめる
  3. その商品の重さと大きさから送料を調べる
  4. 手数料と送料を引いて手取りを計算する
  5. 手取りが残るなら、チャネルを決めて出す
  6. 売れ方を見てから、商品数と送り先を増やす

物流と決済の選定が5に来るのは意図的です。何をどこに売るかが決まっていないと、最適な手段は選べません。

まとめ

越境ECの情報は物流と決済に偏っています。どちらも必要ですが、それだけ整えても売れる商品がなければ何も起きません。

順番は1つです。何を売るかを、売り先の実績で決める。 そのうえで送り方と受け取り方を選ぶ。この順番を守れば、少なくとも「仕組みは整ったが売れない」という状態は避けられます。

よくある質問

越境ECは何から始めればよいですか。

売る商品を決めることからです。物流や決済の仕組みは、扱う商品と売り先が決まってから選べます。順番を逆にすると、送れない商品や需要のない商品を抱えることになります。

マーケットプレイスと自社ストア、どちらがよいですか。

目的によります。マーケットプレイスには既に買い手がいるので早く試せます。自社ストアは集客を自分で用意する必要がある代わりに、顧客との関係とブランドが手元に残ります。

英語は必須ですか。

商品ページは買い手が読む言語で書く必要があります。問い合わせ対応にも必要になります。翻訳で補える部分はありますが、検索される語で書くという点だけは機械翻訳では埋まりません。

どんな商品が向いていますか。

軽くて小さく、単価がそれなりに高く、かつ日本から出すことに意味がある商品です。重くて安い商品は国際送料で利益がなくなります。

売れるかどうかはどう調べますか。

売り先の国で、実際に売れた価格とその頻度を見ます。出品されている価格は売り手の希望であって、売れた証拠ではありません。