せどりの仕入れ先の選び方:初心者が最初の1点を買うまでの手順
せどりを始めようとして最初に詰まるのは、たいてい「どこで仕入れるか」です。検索すれば仕入れ先を並べた記事はいくらでも出てきますが、読んでも決められません。順位をつけられても、自分の条件に当てはまるかどうかが分からないからです。
この記事は仕入れ先を並べません。代わりに、初心者が最初の1点を買うまでにやることを、実際に決めるべき順番で並べます。 そして仕入れ先については、どの候補にも同じように使える確認項目を渡します。
先に結論を書きます。仕入れ先を探すのは3番目です。 1番目は売る場所とそのルールを決めること、2番目はその商品が本当に売れているかを確かめること。この2つを飛ばして仕入れると、買った後で出品できないことに気づくか、売れたのに手元に何も残らないかのどちらかになります。
せどりが物販という言葉の中でどこに位置するのかは物販とは何かの記事で、仕入れをネット上で完結させる形の全体像は電脳せどりの記事で扱っています。この記事はその先、実際に金を出す手前の話です。
「せどりはやめたほうがいい」を先に片付ける
仕入れ先を調べていると、必ずこの言葉に当たります。先に片付けておいたほうが、以降の判断がぶれません。
やめたほうがいいと言われる理由は、だいたい2つに整理できます。
1つめは、手続きを飛ばしている人が実際にいることです。 古物を買い取って売る営業をするには、古物営業法に基づく許可が必要です。そして「古物」の定義は中古品だけに限られません。転売するために仕入れた新品も、多くの場合この定義に入ります。許可の条件、ネット販売での表示義務、確定申告の20万円のラインは物販の副業と古物商許可の記事にまとめてあります。この記事を読む前に、そちらで自分が許可の必要な取引をしようとしているかを確認してください。
2つめは、計算をしていないことです。 価格差だけを見て仕入れれば、手数料と送料を引いた後に何も残りません。これは後述の手順4で数字を出します。
つまり、やめたほうがいいのは「せどり」という形そのものではなく、この2つを確認しないまま始めることです。同じ質問を海外向けの販売について扱ったのがeBayはやめとけと言われる理由の記事で、そこでも結論の形は同じでした。
仕入れ先のランキングを探しても決められない理由
「仕入れ先ランキング」で検索する人は多いのですが、順位という形式がこの問いに合っていません。どの仕入れ先が有利かは、扱う商品、売る場所、使える資金、動ける時間で入れ替わるからです。 同じ店が、ある人には最良で、別の人には手も出せません。
そこで順位の代わりに、どの候補にも当てられる4つの確認項目を使います。
- その仕入れ先から買った物を、自分が決めた売る場所で出品できるか
- 同じ物を、同じ条件で、もう一度買えるか(1回だけの掘り出し物は商売の形になりません)
- 仕入れ値に、手数料と送料を引いた後の余裕が残るか
- 売れなかった場合、その在庫を抱えていられるか
4つすべてに答えられる仕入れ先が、その時点のあなたにとっての正解です。順位表は要りません。
手順1: 売る場所と、そのルールを先に決める
仕入れ先より先に、売る場所を決めます。理由は単純で、売る場所によって認められる仕入れ方が違うからです。
一番効いてくるのがこの線引きです。メルカリは禁止されている出品物として、手元に物理的な商品がないもの、具体的には「手元にない商品の出品やECサイト等から直送すること」を挙げています。 つまり、仕入れた物を自分で受け取ってから発送するなら通常の取引ですが、仕入れ先から買い手へ直接送らせる形は選べません。同じく盗品など不正な経路で入手した商品も禁止されています。
この線引きは無在庫での販売が認められるかどうかの記事と地続きです。在庫を持って発送する前提なら問題にならない仕入れ方が、直送に切り替えた瞬間に規約違反になります。
売る場所の候補ごとに、先に読むものが決まります。
- フリマアプリ: 禁止されている出品物と、手数料の一覧
- Amazon: 出品できないカテゴリーと、出荷方法ごとの条件(Amazonせどりの記事で扱っています)
- 海外向け: 送料の桁と、出品ページを書く言語が変わります(eBayせどりの記事)
規約違反の結果は出品の削除かアカウントの停止です。法律に触れていなくても、売る場所を失えばそこで止まります。
手順2: 売れるかどうかを、売れた実績で確かめる
仕入れ先を見に行く前に、その商品が売れているかどうかを確かめます。ここを飛ばすのが、初心者に最も多い失敗です。
見てはいけないのは出品価格です。出品価格は売り手がつけた希望であって、その値段で売れた証拠ではありません。半年売れ残っている商品にも価格はついています。
判断に使えるのは次の2つだけです。
- 実際に売れた価格
- その価格で、どれくらいの頻度で売れているか
国内で売るなら、その販売先の売れた実績を見る
メルカリで売るなら、メルカリの検索で確かめます。ヘルプセンターが説明している操作は次のとおりです。検索はホームタブ上部の検索窓から行い、複数のキーワードはスペースで区切ります。検索後に画面内の「絞り込み」から条件を追加でき、並べ替えはおすすめ順、新しい順、価格の安い順、価格の高い順、いいね!順から選べます。自然な言葉で条件を伝えるAI絞り込みも検索結果画面の下部にあります。
もう1つ、仕入れを続けるなら覚えておいたほうがよい機能があります。検索後に画面下部に出る「この検索条件を保存する」です。検索条件は最大100件まで保存でき、関連する新着商品の通知も設定できます。 保存したものは「プロフィール>フォロー中>検索条件」から確認できます。狙う商品が決まっているなら、毎回検索し直すより通知で待つほうが早く見つかります。
海外に売るなら、売り先の市場を見る
売り先を海外に広げる場合、確かめるのは売り先の市場です。日本国内の相場ではありません。米国の買い手に売るなら、米国で何がいくらで、どれくらいの頻度で売れているかを見ます。この調べ方の手順はリサーチのやり方の記事にまとめてあります。
ZIK Analyticsが扱っているのは、この「実際に売れた」側のデータです。ただし対象はeBayを中心とした海外マーケットプレイスで、アプリの表示は英語のみです。国内の販売先だけで完結させるなら、使うのはその販売先の売れた実績のほうです。 どの種類の道具が何を解決するのか、そもそも手作業で足りる段階かどうかの線引きはせどりツールの選び方で整理しています。
手順3: 仕入れ先を種類で選ぶ
ここで初めて仕入れ先を見ます。個別の店ではなく、種類で考えてください。種類ごとに、競合の多さと数量の確保しやすさが入れ替わります。
| 仕入れ先 | 競合 | 数量 | 先に確認すること |
|---|---|---|---|
| 実店舗の処分品 | 少ない。その日その店に行った人だけ | 棚にある分だけ | 古物商許可が必要な取引かどうか |
| ネット小売のセール | 多い。同じページを誰でも見られる | まとめて確保しやすい | 売る場所が直送を禁じていないか |
| フリマアプリ・オークション | 中程度。出品は1点ずつ | 1点ずつ | 古物を買い受ける際の相手方の確認義務 |
| 卸・問屋のサイト | 少ないが条件がある | ロット単位 | 最低ロット数と、売れ残った場合の在庫 |
表の並びは有利な順ではありません。 上に行くほど競合が少なく、下に行くほど数量が読めます。どちらが欲しいかは、あなたが時間を出せるか資金を出せるかで決まります。
最初の1周では、この4種類のうち1つだけを選んでください。 複数を同時に回すと、売れなかったときに何が悪かったのかが分からなくなります。
手順4: 手取りを計算してから、1点だけ買う
ここが仕入れの可否を決める計算です。見るのは価格差ではなく、手元に残る金額です。
引かれるものは決まっています。メルカリを例にすると、出品そのものに出品料はかかりませんが、商品が売れて取引が完了した時点で、販売価格の10%が販売手数料として引かれます。 そこに送料と梱包材が乗ります。
送料は、重さより先に厚さで決まります。この数字を知らないまま薄利の商品を仕入れると、そこで赤字になります。
| 配送方法 | 料金 | 上限 |
|---|---|---|
| クリックポスト | 185円 | A4、厚さ3cm、1kg |
| ゆうパケット(厚さ1cmまで) | 250円 | 3辺計60cm、長辺34cm、1kg |
| ゆうパケット(厚さ2cmまで) | 310円 | 3辺計60cm、長辺34cm、1kg |
| ゆうパケット(厚さ3cmまで) | 360円 | 3辺計60cm、長辺34cm、1kg |
| レターパックライト | 430円 | A4、厚さ3cm、4kg |
| レターパックプラス | 600円 | A4、4kg、厚さ3cm超も可 |
クリックポストとレターパックは全国一律の料金で、ゆうパケットは厚さで料金が決まります。クリックポストの利用にはYahoo! JAPAN IDとYahoo!ウォレットの登録が必要です。レターパックは専用の封筒を買って送る形式で、表の料金がその封筒の代金にあたります。
実際に計算してみる
仕入れ1,200円の商品を2,000円で売る場合を考えます。価格差は800円です。ここから引きます。
- 販売手数料: 2,000円の10% = 200円
- 送料: 厚さ2cmでゆうパケット = 310円
- 梱包材: ここでは50円として計算します
- 仕入れ値: 1,200円
2,000円から順に引くと、手取りは240円です。800円あったはずの差が、3分の1以下になりました。
そして厚さが1cm増えるだけで変わります。梱包して3cmになったら送料は360円、手取りは190円です。 逆に、クリックポストが使える形と大きさに収まれば送料185円で、手取りは365円になります。同じ商品でも、梱包の厚さで手取りが2倍近く動きます。
もう1つ引き忘れやすいものがあります。売上金を現金として引き出す振込申請の手数料は、金額や金融機関にかかわらず一律200円です。 1点売れるたびに引き出せば、240円の手取りから200円が消えます。引き出しはまとめてください。
この計算をしてから、1点だけ買ってください。 同じ商品を10個仕入れたくなる場面は必ず来ますが、手取りの計算が合っていることを1回確かめるまでは待ったほうが安いです。
手順5: 入金を待ってから、次を仕入れる
最後の手順が、初心者が最も知らないことです。売れた時点では、まだ入金されていません。
メルカリのヘルプセンターは、販売利益は購入者の支払い方法にかかわらず、商品発送後、取引が完了したタイミングで残高に反映されると説明しています。取引の完了は、買い手が商品を受け取って受取評価を行い、そのあと出品者も評価して初めて成立します。
さらに前段もあります。買い手がコンビニ払いやATM払いを選んだ場合、支払い期限は購入日を含む3日目の23:59:59までです。つまり「売れた」という通知が来てから実際の支払いまで、数日空くことがあります。
引き出す段でも制限があります。1営業日あたりの振込申請の上限は、本人確認を完了していれば振込手数料を含んで100万円ですが、完了していない場合は5万円までです。仕入れを続けるつもりなら、本人確認は先に済ませておいたほうが詰まりません。
ここから出てくる運用のルールは1つです。最初の仕入れは手元の資金で行い、2回目以降は実際に入金された金額の範囲で行ってください。 売れた通知を入金と勘違いして次を仕入れると、支払い前の売上を当てにした状態になります。回転を速くしようとして資金が先に尽きるのは、この勘違いが原因です。
初心者がやりがちな失敗
仕入れ先から探し始める。 売る場所とそのルールが決まっていないと、仕入れた後に出品できない可能性が残ります。手順1が先です。
出品価格を見て価格差を判断する。 出品価格は希望価格です。売れた価格と頻度だけが判断材料になります。
梱包後の厚さを測らずに仕入れる。 送料は厚さ1cm単位で変わります。薄利の商品では、この1cmが赤字と黒字の境目になります。
売れた通知を入金として数える。 入金は取引完了後です。ここを間違えると、支払われていない売上で次を仕入れることになります。
最初から複数の仕入れ先を回る。 売れなかったときに原因が絞れません。1周目は1つに限ってください。
まとめ
せどりの仕入れ先に正解の順位はありません。あるのは、自分の条件に合うかどうかを確かめる手順です。
売る場所とそのルールを決め、売れた実績で需要を確かめ、そこから仕入れ先の種類を選び、手数料と送料を引いた手取りを計算して、1点だけ買う。売れて入金されたら、その金額の範囲で次を仕入れる。
この1周を通すと、記事を何本読んでも分からなかったことが数字で出ます。自分の手取りがいくらで、売れるまでに何日かかり、資金が何日で戻るのか。 仕入れ先選びが本当に上手くなるのは、その3つが分かってからです。
よくある質問
せどりの仕入れは初心者でもできますか。
できます。ただし最初から複数の仕入れ先を回ろうとすると判断が増えすぎます。仕入れ先を1つに絞り、1点だけ買って、出品から入金までを1回通してください。そこで初めて、自分の手取りと、売れるまでにかかる日数が分かります。この記事の手順1から手順5がその1周分です。
せどりの仕入れ先のランキングはありますか。
この記事では仕入れ先に順位をつけません。どの仕入れ先が有利かは、扱う商品、売る場所、使える資金、かけられる時間で変わるため、順位をつけても自分の条件に当てはまりません。代わりに、どの仕入れ先でも同じように使える4つの確認項目を用意しました。手順3で扱っています。
メルカリで仕入れてメルカリで売ってもいいですか。
買う側として使うことと、手元にある物を売ることは問題ありません。ただしメルカリは、手元にない商品の出品や、ECサイト等から購入者へ直送することを禁止しています。つまり仕入れた物を自分で受け取って発送するなら通常の取引ですが、仕入れ先から直接買い手に送らせる形は選べません。
せどりはやめたほうがいいと言われるのはなぜですか。
多くは、手続きを飛ばした状態を指しています。古物を買い取って売る営業には古物営業法上の許可が必要で、ネットで売るなら表示義務もあります。加えて、手数料と送料を引かずに価格差だけで仕入れると在庫と赤字が増えます。やめたほうがいいのは、せどりという形ではなく、この2つを確認しないまま始めることです。
資金はいくら用意すればよいですか。
金額よりも、その資金がいつ戻るかのほうが効きます。メルカリでは売上金が反映されるのは取引完了時で、コンビニ払いを選んだ買い手には支払い期限まで数日あります。さらに現金として引き出すには振込申請が必要で、手数料は一律200円です。1点売れるたびに引き出すと手取りの多くが消えるため、最初の1周は少額で試してください。