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中国仕入れの手順:課税価格、関税、そして出品できない商品

「中国仕入れ」で検索すると、上から下まで代行業者の申込ページが並びます。どこで仕入れるかを尋ねた読者に、自社の注文フォームで答えている状態です。相談先として悪いという話ではありません。ただ、業者に渡す前に自分で決めておくことがあり、それを説明する動機を持つ人がそのページにはいません。

決めるべきことは仕入れ先ではありません。中国から商品を買って日本で売ると決めた時点で、あなたは輸入者になります。すると同じ商品でも、隣の家の人が自分用に買うときとは別の計算で税額が決まり、商品によっては出品そのものができません。この2つは仕入れ先を選ぶ前に分かることで、しかも買ったあとでは変えられないことです。

この記事は仕入れ先に順位をつけません。1688、タオバオ、アリババという名前はすぐ出てきますが、どれが有利かは品目とロット数と日本側の手続きで変わるため、順位をつけても読者の条件には当てはまりません。儲かる商品のリストも出しません。理由は最後の節に書きます。代わりに、どのサイトから買っても同じように効く順番を置きます。

扱う数字と規定は、すべて税関と法令の一次情報から取りました。品目ごとの関税率のように出典を確認できないものは、率を書かずに確認先を示します。

物販という言葉の全体像は物販とは何かの記事、国内で仕入れる場合の順番はせどりの仕入れ先の記事、輸入と輸出をビジネスの形として見る話は輸入・輸出ビジネスの記事で扱っています。この記事はその下にある、国境をまたぐ部分の実務です。

「安く仕入れられるサイト」から始めると詰まる理由

仕入れ値だけを見れば、中国のサイトは確かに安く見えます。問題は、その価格が読者の手元に届くまでの間に、日本側で3つの金額が足されることです。国際送料、関税と消費税、そして日本で売れる状態にするための費用です。

3つ目が見落とされます。電気製品なら表示の確認、無線が入っていれば適合の確認、ブランドに似ているなら権利関係の確認が必要で、確認の結果として売れない場合があります。仕入れ値がいくら安くても、出品できない在庫の利益率はマイナスです。

だから順番はこうなります。売れるかを確かめ、売れる状態にできるかを確かめ、そのうえで課税価格を出して手取りを計算する。サイトを選ぶのはそのあとです。

中国仕入れは、あなたが輸入者になるということ

ここが、この記事でいちばん伝えたい一点です。

税関は課税価格の出し方を、用途で分けて説明しています。個人的使用のために輸入する場合は「海外での小売価格に0.6を乗じた額」が課税価格です。商業用、つまり販売するために輸入する場合は「海外での販売価格に運賃及び保険料を加算した額」が課税価格になります。

つまり転売するなら0.6は使えません。 そして送料と保険料は課税価格に入ります。

数字を入れると差が見えます。ある商品の現地小売価格が10,000円だとして、自分で使うために買う人の課税価格は6,000円です。一方、あなたが同じ商品を卸価格7,000円で仕入れ、国際送料が2,000円かかったなら、あなたの課税価格は9,000円です。仕入れ値は3,000円安いのに、申告する価格は3,000円高くなります。

「個人輸入なら安い」という説明を読んだことがあるなら、それはこの0.6の話です。販売目的の輸入には当てはまりません。そして日本語の検索で「個人輸入」と打つと出てくるのは医薬品の話で、仕入れの話ではありません。言葉が似ているだけで別の制度です。

なお、この記事が扱うのは商品が日本に入ってくる向きです。日本から海外に売る向きの話は越境ECの記事にあります。同じ国境ですが、手続きも必要な知識も逆向きなので、混ぜないでください。在庫を持たずに供給元から直送させる形についてはドロップシッピングとは何かの記事で扱っています。中国仕入れは在庫を自分で持つ形なので、こちらとは別の話です。

手順1: 仕入れる前に、その商品が売れているかを確かめる

順番の話をしておくと、これが最初です。仕入れ値の交渉より前です。

確かめる場所は、あなたが売る場所です。メルカリで売るならメルカリの売却済み、Amazonで売るならAmazonの該当カテゴリー、ヤフオク!なら落札相場を見ます。見るのは出品数ではなく、売れた件数と売れた価格です。 出品が多いカテゴリーは競合が多いだけで、需要の証明にはなりません。

海外に売る場合は、売り先の市場の実績を見ることになります。eBayで売るなら、その市場で直近に売れた出品を調べることになります。

ZIK AnalyticsのProduct Research(商品リサーチ)の画面。検索語に対して Sell Through(出品に対して売れた割合)、Listings、Sold Items、Sales Earnings、Successful Listings、Average Product Price が並び、下に Market Share と Sales Trend のパネルが続く。表示は英語のアプリ画面で、対象はeBayの海外マーケットプレイスの実売データ

ZIK AnalyticsのProduct Researchは、左のサイドバーのProduct Researchアイコンから開き、eBayを選んで商品名かキーワードを入れて使います。表示されるのはSell Through、Listings、Sold Items、Sales Earningsで、出品に対してどれだけ売れたかを見る画面です。日本向けのeBay市場は存在しないため、ここに日本の数字はありません。 見えるのは海外マーケットプレイスの実績で、アプリの表示は英語のみです。国内の販売先だけで売るなら、その販売先の売却済みデータを見るほうが読者の条件に近い情報になります。

どちらの場合も、この手順の目的は1つです。まだ1円も払っていない段階で、売れない可能性を減らすこと。 仕入れてから売れるかを調べる順番だと、調べた結果が悪くても在庫は残ります。

手順2: 日本で出品できる商品かを確認する

「中国サイトからの通販は危険ですか」という質問によく行き当たります。届かない、写真と違うといった取引上の心配より、日本で売れない商品を仕入れてしまうことのほうが金額として重いので、そちらを先に片付けます。

確認するのは3つです。

電気製品は、表示がなければ陳列もできない

電気用品安全法は、電気用品の製造または輸入の事業を行う者に届出を義務づけています。条文は「事業開始の日から三十日以内に」「経済産業大臣に届け出なければならない」と書いています。この義務は輸入する人にかかります。 中国の工場ではなく、日本に持ち込んで売る人が届出をする側です。

なお、ここでいう電気用品は、電気製品すべてではありません。同法第二条は電気用品を「政令で定めるもの」と定義しており、対象は政令の一覧で決まります。自分が仕入れようとしている品目が入っているかどうかは、条文と所管省庁の案内で確認してください。

そして第二十七条は販売を制限しています。「電気用品の製造、輸入又は販売の事業を行う者は、第十条第一項の表示が付されているものでなければ、電気用品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない」と定めています。ここで効くのが「販売の目的で陳列」の部分です。売れたときではなく、出品して並べた時点で問題になります。

だから電気製品は、中国仕入れで最初に手を出す品目ではありません。最後です。

無線が入っているものは、適合の表示を確認する

Bluetooth機器やWi-Fi機器のように電波を出すものには電波法がかかります。電波法第四条は「無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない」と定め、例外として適合表示無線設備だけを使う一定の無線局を挙げています。つまり適合の表示がない機器は、この例外に乗れません。 安く見えるワイヤレス機器は、ここを確認してから判断してください。

ブランドに似た商品は、偶然の検査ではなく名指しの検査に当たる

税関には差止申立制度があります。商標権や意匠権などの権利者が、自分の権利を侵害すると認める貨物について、輸入を差し止めて認定手続を執るよう申し立てる仕組みです。税関はこの制度を活用し、対象の貨物について「重点的に審査・検査を行い」と説明しています。

受理済みの申立ては一覧で公開されており、キーワードで検索できます。2026年8月から9月にかけても、任天堂、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、サンリオ、華為技術などの申立てが受理されています。ブランドに似たデザインの商品を仕入れるのは、運の悪い検査に当たるかどうかの話ではありません。 すでに探すよう言われている貨物を送る話です。仕入れる前に一覧を見てください。

手順3: 課税価格を出す

ここから金額の計算です。販売目的の輸入なので、課税価格は現地の販売価格に運賃と保険料を加えた額です。

仮に卸価格が7,000円、国際送料が2,000円、保険をかけていないなら、課税価格は9,000円になります。この9,000円が、次の手順で税額の基準になる数字です。1万円という境目が効いてくるので、送料を足したあとの金額で見ることを忘れないでください。送料を入れずに卸価格だけで判断すると、境目の内側にいるつもりで外側にいます。

手順4: 関税と消費税を足して、手取りを出す

課税価格の合計額によって、適用される仕組みが変わります。

課税価格の合計額関税と消費税注意すること
1万円以下どちらも免税革製のカバン、ハンドバッグ、手袋等、編物製衣類(Tシャツ、セーター等)、スキー靴、革靴などは免税の対象外
20万円以下関税は6区分の簡易税率、消費税は別途簡易税率に内国消費税及び地方消費税は含まれない。一般の関税率を選ぶこともできる
20万円超関税は一般の関税率、消費税は別途品目ごとの率は実行関税率表で確認する

消費税の標準税率は、消費税率7.8%と地方消費税率2.2%の合計10%です。軽減税率は合計8%です。品目ごとの関税率はこの記事では書きません。数千の品目分類があり、率は品目で決まるため、一律の数字を書くと読者の商品には当てはまらないからです。自分の品目の率は実行関税率表で確認してください。

1万円以下の免税には、2つの落とし穴があります

1つ目は品目です。課税価格の合計額が1万円以下の輸入は関税と消費税が免税になりますが、我が国の産業への影響などを考慮して「関税を免税しない物品」が定められています。その主なものが、革製のカバン、ハンドバッグ、手袋等、編物製衣類(Tシャツ、セーター等)、スキー靴、革靴及び本底が革製の履物類等です。

読み返してみてください。中国仕入れで最初に候補に挙がる品目、つまり衣類とバッグと靴が、ちょうど除外されています。安い単価で小さくテストしようとしてTシャツを選ぶと、金額は1万円以下でも免税にはなりません。

2つ目は判定の単位です。1万円以下かどうかは、1回の申告に係る輸入貨物の課税価格の合計額で判断されます。そして分割は封じられています。「1インボイスに係る貨物を分割して申告した場合には、そのインボイスに記載されたすべての貨物の課税価格を合計したものになります」と明記されています。郵便物についても、同一差出人から同一名宛人に同一時期に分散して郵送されたものは合計されます。1つのインボイスの貨物を2回に分けて申告しても、境目の内側には入りません。

計算してみる

さきほどの課税価格9,000円で、2つの場合を比べます。

雑貨を仕入れた場合、課税価格9,000円は1万円以下なので、関税と消費税は免税です。仕入れ値7,000円と送料2,000円の9,000円が、日本に着くまでの原価になります。

同じ金額でTシャツを30枚仕入れた場合、課税価格は同じ9,000円ですが、編物製衣類は免税の対象外なので関税がかかり、消費税もかかります。金額は同じ、品目が違うだけで、原価が変わります。

ここに手数料と国内送料を引いて、はじめて手取りが出ます。売値から仕入れ値を引いた差ではありません。販売手数料、国内送料、そして輸入時の税を引いたあとに残る金額で判断してください。

手順5: 最初は少量で、1回通す

ここまでの確認が済んだら、最小のロットで1回だけ買ってください。目的は利益ではなく、自分の条件での数字を1回確定させることです。

1回通すと分かるのは、実際の到着日数、実際の課税価格と税額、検品で弾かれた割合、そして出品してから売れるまでの日数です。これらは記事では分かりません。同じ商品でも、仕入れ先と配送方法と時期で変わります。

そして次のロットは、その数字で判断してください。想定ではなく実績で決めるのが、2回目以降の唯一の違いです。

「中国輸入で儲かる商品リスト」について

この質問はよく検索されていて、答えを並べたページも多くあります。この記事では出しません。理由を書いておきます。

日本向けのeBay市場は存在せず、当社が扱っている実売データに日本は含まれていません。ですから日本で何が儲かるかを、当社のデータから示すことはできません。出せない数字を出さないというのは、このサイト全体の方針です。

もう1つ、実務的な理由があります。仮にリストを作れたとしても、公開された時点でそのリストを読んだ人が同じ商品に集まります。読者が知りたいのは競合が増えたあとの商品ではなく、自分の販売先で今売れているものです。それは手順1の方法で、自分で調べられます。

まとめ

中国仕入れは、仕入れ先を選ぶ作業ではありません。日本側で何を負い、何を売れるかを確認する作業です。

順番をもう一度書きます。売れているかを、売る場所の実績で確かめる。日本で出品できるかを、電気用品と無線と権利の3点で確認する。課税価格を、販売価格に運賃と保険料を足して出す。1万円と20万円の境目と、免税の対象外品目を確認して税を足す。そして少量で1回通す。

この順番で進めれば、代行業者に相談するときにも、何を頼みたいのかが自分の言葉で言えます。仕入れ先の比較から始めた場合との違いはそこです。

よくある質問

中国で安く仕入れられるサイトはどこですか。

この記事では仕入れ先に順位をつけません。1688、タオバオ、アリババといった名前はすぐに見つかりますが、どれが有利かは扱う品目、売る場所、ロット数、日本側で必要になる手続きで変わるため、順位は自分の条件に当てはまりません。代わりに、どのサイトでも同じように使える判断材料を手順2から手順4に置きました。課税価格の出し方と、出品できるかどうかの確認は、どこで買っても同じように効きます。

中国サイトからの通販は危険ですか。

危険の中身を分けて考えてください。届かない、写真と違うといった取引上の問題と、日本で売れない商品を仕入れてしまう問題は別です。後者のほうが金額として重くなります。電気用品は表示がなければ販売目的で陳列することもできず、無線機器は適合表示無線設備でなければ免許が必要です。加えて税関は差止申立制度を使い、権利者が申し立てた貨物を重点的に審査しています。ブランドに似た商品は、偶然の検査ではなく名指しの検査に当たります。

中国輸入で儲かる商品リストはありますか。

この記事では出しません。日本向けのeBay市場は存在せず、当社が扱う実売データに日本はないため、日本で何が儲かるかを当社のデータから示すことはできません。出せない数字を出さないことは、この記事の方針です。代わりに手順1で、あなたが売る場所の売れた実績で確かめる方法を扱っています。自分の販売先の実績は、どんなリストよりあなたの条件に近い情報です。

中国仕入れで関税はいくらかかりますか。

品目ごとに違うため、一律の率はありません。課税価格の合計が1万円以下なら関税と消費税は免税、20万円以下なら6区分の簡易税率、それを超えると一般の関税率です。自分の品目の率は税関の実行関税率表で確認してください。消費税は別にかかり、標準税率は消費税率7.8%と地方消費税率2.2%の合計10%です。簡易税率には内国消費税は含まれていません。

1万円以下なら税金はかからないのですか。

原則は免税ですが、例外が2つあります。1つは品目で、革製のカバンやハンドバッグ、手袋、編物製衣類(Tシャツ、セーター等)、スキー靴、革靴などは関税を免税しない物品として定められており、1万円以下でも免税になりません。もう1つは判定の単位で、1回の申告に係る課税価格の合計額で判断され、1つのインボイスを分割して申告した場合はそのインボイスに記載されたすべての貨物の課税価格が合計されます。